子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 保名さんは必死に落ち着こうとする私を見つめ、ふいっといつものように視線をずらした。

「いやはや、初々しくて微笑ましいね。保名くんも顔が赤いんじゃないか?」

「ご冗談を。照れるのは妻だけで充分です」

 軽口をかわす保名さんは、話が終わるまで私を一度も見なかった。

 招待してくれた取引先の社長と挨拶をした後、保名さんは私を会場の壁際へ連れて行った。

「俺はこれから、他に挨拶をしてくる。おまえはここにいろ」

「私もご一緒しなくていいんですか? もしかしてさっき、失敗してしまったから……?」

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