子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 少しだけ早口になって言い切った保名さんが、こつんと私の額に自分の額を押し当てた。

「俺を騙すなら、最後まで本性を見せないでくれ」

 これまで彼が口にしていた鋭い口調とは違い、懇願に似た響きを感じ取る。

 でもそれを深く考える前に唇を塞がれ、頭の中が真っ白になった。

「やす、な……さん……?」

「……戸惑うだけなんだな」

 もう一度唇を柔らかな熱で包み込まれ、くっと喉の奥が締まった。

 驚いて目を見開いた私の手を握ったまま、保名さんはあろうことか舌で閉じた唇を割ろうとしてくる。

「んんーっ……!?」

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