子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 特に耳を噛んでくるのはいただけない。あれをされると背筋がぞくぞくして変な声が出てしまう。

 私がそうなると知ってから、なぜか彼はベッドの上以外でも耳にキスをしたり、触ってくるようになった。そうして毎回反応する私を見ておもしろがり、また隙を見せた時にちょっかいをかけるのである。

 手もとに手繰り寄せたシーツを抱きかかえ、余計なことをあれこれと思い出して熱くなった顔を隠すように埋める。

 保名さんは私にとても優しくなったし、ほんの少しでも傷付かないよう気を遣って接してくれるようになった。

 しかし、誤解が解けた頃に比べて距離が縮まりすぎてはいないだろうか?

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