子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「そんなこと言わないし、言えないよ。仕返しなんかしたくない」

「やられっぱなしでいいのか?」

「保名さんが幸せにしてくれるからいい」

 保名さんは本心から告げた私に向かって苦笑する。

「幸せにしてほしいなら、いい加減呼び捨てで呼べよ」

 今なら言える気がして口を開きかけるも、その前に保名さんが私の唇を塞いだ。

 前にもこんなふうに口を封じられた気がすると思いながら、彼の甘いキスに抗えず、広い背中に腕を回した。
< 257 / 381 >

この作品をシェア

pagetop