子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
番外編:宇治抹茶かき氷



 保名さんと一緒にいる時は、いいことが起きる。

 以前からそう思っていたけれど、改めてその認識を強くした。

 理由は彼と出かけた先で出会った、とびきり魅力的なかき氷だ。

 小ぢんまりした喫茶店。店内には私たち以外に三人ほど客がいる。

 少し喉を潤していこうと立ち寄ったそこには、期間限定のメニューが置かれていた。

「全部食ったら頭が痛くなりそうだな」

 私の前に運ばれてきた宇治抹茶のかき氷を見て、保名さんがなんとも言えない顔をする。

 そうなるのも仕方がないと頷けるくらい、かき氷は大きかった。

 メニューにある写真より、ひと回りほど大きいように見える。

< 324 / 381 >

この作品をシェア

pagetop