子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 窓から差し込む太陽の光にキラキラと反射するふわふわの氷には、濃い緑色の抹茶シロップがたっぷりかかっている。

 頂上付近には練乳がかけられており、緑と白のコントラストの見事さには思わず息を呑むほどだ。

 ガラス製の丸い器には、氷だけでなく白玉とあずきまで添えられている。

 早く食べなければ、柔らかな白玉は冷たさで硬くなってしまう。

 しかし、私は好きなものは最後まで取っておきたいタイプだ。いつ食べるべきか、まだひと口も手を付けていないのに悩んでしまう。

「ひとりでこんなに食べていいなんて、ちょっと変な感じ」

「足りないならもうひとつ食ってもいいぞ」

「食べてから考えるね」

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