子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 俺が砂糖を計り始めたのを見ると、彼女の表情がまた変化した。

「もしかして、お菓子?」

 声まで弾んでいる。

 いつもあんなに和菓子を食べているのに、まだ甘いものを食べたいらしい。

 子どものように喜ぶところがかわいいが、ここで作業を中断して彼女とたわむれるのは本末転倒だ。。

 こうなってはなにがなんでもうまく作って、彼女をもっと喜ばせたい。

「あとでわかるから、そっち行ってろ」

「でも今日は食べられないんだよね? なにを作るか教えて」

「食う時に教えてやる」

「今がいい。私が食べたことのあるお菓子かな?」

「おまえがなにを食ってきたかなんて、知るわけないだろ」

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