子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 鍋に入れておいた水と粉寒天がほどよく溶け始める。

 先ほど計っておいた砂糖を加え、琴葉の興味深そうな視線を感じながら混ぜた。

「なにを作るか、当ててもいい?」

「当たったら全部食っていいぞ」

「じゃあ……外れたら?」

「罰として全部食え」

「どっちにしろ、私にくれるんだね」

 おまえのためのものだからな、とは気恥ずかしくて言わなかった。

 しばらく鍋の中身を混ぜていると、だんだんとろりとした液体に変わる。

 木べらを軽く持ち上げると、滴らずにそのまま留まった。

「おまえ、好きな色は?」

「え? うーん、特にないかな……?」

「今ここで決めろ」

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