子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「無理はしなくてもいいけれど、あなたが弥子のためにしてくれるなら助かるわ」

 母からの慈愛に満ちた、それでいてどこか空虚な眼差しを受けて頷く。

 弥子の代わりになれば、彼女は好きな人との将来を諦めずに済む。両親も変わらず葛木家との繋がりを作れて、私は初恋の人と結婚できる。

 幸せになれないのは、私なんかと結婚してしまう保名さんだけ。

 ――ごめんなさい。

 式場へ向かっているであろう保名さんに、心の中で謝罪する。

 どんなに気に入らなくても、彼のためによい妻でいよう。自分の幸せを願ってしまった贖罪を、一生をかけて果たそう。

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