子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 口を開きかけてから、真実という言葉に引っかかった。

 弥子には聞いておかねばならないことがある気がする。

「どうして保名さんを騙したんですか」

 妹の答えはすぐに返ってこなかった。

 私が自身の質問を無視したからなのか、苛立った声がする。

『騙したって、考えすぎ。宝来の人間ならどっちでもよかったんだから、琴葉でも私でも構わないわけでしょ』

「でも、保名さんが聞いていたのは弥子で」

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