私だけを愛してくれますか?
えっ! どういう展開?
『いわくら』にお願いしてみるってことでいいでしょ。
副社長と二人で話を詰める必要なんてある?
「そうですか? では、失礼いたします。吉木君頼んだよ」
部長は見るからにホッとした様子で部屋を後にする。袴田さんも申し訳なさそうに、部長の後に続いていった。
袴田さんはともかく、部長は残ってくださいよ!
心の中で詰るが、既に部屋には私だけだ。
「まあ、座れ」
副社長はアゴでソファをクイッと示し、秘書に通じる電話でコーヒーを二つ持ってくるように指示した。
コーヒーなんていいから、とっとと出店依頼をするお店を決めて私も帰りたい。
残念ながら声に出して言うことはできず、しぶしぶソファに腰かけた。
副社長もソファに移動してきて、私の対面に座る。
さっきまでは苦虫を噛み潰したような顔をしてたのに、なぜか今は穏やかな顔をしていた。
不可解な副社長の態度に困惑する。