私だけを愛してくれますか?
誕生日の日に、恋心に気づいてしまってからは、副社長に会うのが気恥ずかしいし、今みたいに、『副社長』と誰かが言うだけでドキッとする。
ただ、どうこうする気は毛頭なく、遠いところから眺めているのが幸せという、中学生の片想いかと突っ込まれそうな毎日を送っていた。
でも、恋をすると毎日が楽しいものだということを久しぶりに実感している。
職場で会うかもしれないと思うと、おしゃれをしていこうかという気持ちになるし、出勤するのも心が弾む。
内勤の時にはスカートを穿くようになったし、パンツスーツの時にはインナーを明るめの色にしたりもする。髪形にもアレンジを加えているし、眼鏡もコンタクトに変えた。
元々はおしゃれが嫌いなわけではないので、朝の支度に楽しみが増えたといったところ。
でも、周囲の人からは驚くほどの変化に見えるみたいで、他部署の人からも話しかけられることが多くなり、班のメンバーからは『新チーフ』などと冷やかされている。
瑠花ちゃんにじゃれつかれたり、小森君や京極君と談笑したりするのも楽しい。
優吾と紳士服売り場の件を同時に自分の中で整理できたことは、本当に大きな転機になった。
『新チーフ』としての初仕事が、祇園祭というのも確かにいい記念になるかも。
「祇園祭、楽しみですね」
「そうね」
ワクワクを押さえきれない様子の瑠花ちゃんの頭を撫でる。
私も今年の祇園祭りは楽しもう。