元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
…あら?
しかし、予想していた痛みは数秒待ってもやってこない。
一体、今度は何なの?
恐る恐るつぶっていた目を開くと、
「……っ!」
そこには、リアムの振り上げた手を掴むノエルの姿があった。
「…ノエル、お前がなんでここに。…っ、放さないか。兄に向かってなんの真似だ」
「…兄さんこそ、僕の婚約者に向かってなんの真似です?」
酷く冷めたノエルの声が部屋に響く。
ノエルは、そのままリアムの腕を振り払い私との間に壁を作るように立ちふさがる。
「…父上にも報告させてもらいますので…さっさと屋敷に戻らないと、本当に取り返しがつかないんじゃないですか?リアム兄さん」
「…っ、覚えてろよ」
最後に捨て台詞を吐き、くるりと踵を返すとようやくリアムは部屋を出ていった。