元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
パンの焼けるいい匂いがなんともいえない
し。
「ちょうど今がいちばん、買い物客が多いから迷子にならないように、ね?」
ギュッ
そう言うと、ノエルは私の手を優しく握った。
「…もう、エルったら私、子どもじゃないから大丈夫よ」
一瞬、ドキッと、胸が高鳴ったが、なんとか平静を装い誤魔化すように笑みをこぼす。
「まぁまぁ、今日が最後なんだから。ほら、ぶつかるよ」
グイッ
すれ違いざま、人にぶつかりそうになる私の身体をノエルが引き寄せる。
び、びっくりしたわ…
「あ、ありがとう」
小さくお礼を述べ、私は素直にノエルの近くに身体を寄せた。
人混みに慣れてない私は下手をすると本当に迷子になりかねなないと判断したのだ。