元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
そんな彼女らに内心呆れつつも、私は目の前に立つミラー公爵に向かって優雅に一礼をした。
「公爵様、お初にお目にかかります。ビクター家のエレノア・ビクターと申します。この度は素敵なパーティーへのご招待誠にありがとうございます。とても光栄ですわ」
定番の言葉文句ではあるが、しっかりと挨拶を済ませ、任務完了。
後は、どのタイミングでその場を離れるかだ。
「こちらこそ、ビクター令嬢に参加して頂けて誠に光栄に思っております。私も新聞を読みましたよ。ノエル・コックス様とのご婚約おめでとうございます」
「おほほ、公爵様に祝辞を述べて頂けるなんて…身に余る光栄です」
ドレスの裾を広げ、きっちり最敬礼する私。
「…ビクター令嬢の婚約破棄の件を伺ってから、本当はうちのアル坊ちゃまのお相手にと考えていたのですが…」
ふむ、と、顎に手を当て考える仕草をする公爵はいかにも残念そうにため息を溢した。