元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「…アルがミラー家の当主なの…?」
パクパクと、開いた口が塞がらない私をよそに、
「うん、まぁ。そんな感じ?」
と、いつもの調子を崩さないアルバート。
あぁ…駄目。頭が痛くなってきたわ。
「んで、こっちはミラー公爵家に仕えるセバスチャン。うちの執事長でミラー公爵の影武者してもらってたんだ」
「エレノア様、先程は騙したような形になり誠に申し訳ありません。実は今日のパーティーは、アルバート坊ちゃまが正式な跡取りであることを発表する場でもありまして。今までは若すぎる坊ちゃまに代わり、表舞台には私が立っていたのです」
恭しくお辞儀する公爵…もとい、セバスチャンは心底申し訳無さそうに呟いた。
「…あ、あのお方が本物のミラー公爵ですって?」
その光景に驚いたのは私だけではなく、周りにたむろしていた貴族たちもまた然り。
ザワツキ始めた会場の中、
「静粛にお願い致します」
セバスチャンのよく通る声がその波紋を制する。