月下の少女

「8月15日。今日は関東連合創立日だ。今日は存分に楽しめ!」


「「「「オーーーー!!!!!!!」」」」


「総長かっけぇ…」


「総長ー!!」


「キャーーーー!」


歓声とバイクを噴かす音が一体に広がり、俺と公弥さんは車に、その他幹部はそれぞれのバイクに向かった。


春陽は公弥さんの顔を凝視し、明らかに動揺している。


そういえば春陽は公弥さんが関東連合創立者って知らないのか。


それは俺ら幹部と一緒に出てきたら驚くわな。


車に乗り込み、春陽にイベント内容や公弥さんの事情を話すと直ぐに納得し、外の世界に目を向けた。


俺が目で昇に合図すると、周りのバイクが一斉に点灯し、光に包まれる。


「きれい…。」


そう呟いた春陽の表情は、今までで見た中で一番穏やかな表情だった。


あぁ、やっとその顔を見れた。


間もなくしてバイクと共に車も動き出し、春陽も窓を開けて風を浴びている。


フードは風で脱げており、髪の毛がなびいている。


その横顔はとても綺麗でいつまででも見ていられそうだ。


あと10分くらいで海に着くな。


今日は雨上がりで空気も澄んでるしきっと綺麗な朝日が見えるだろう。


それを見せてやるのが今回春陽を誘った一番の目的だ。


順調に走っていると、突然春陽がフードを被り直し、手をギュッと固く握りしめていた。


どうした?何かあったか?

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