追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「あんた馬鹿なんじゃないの!? どっからそんなデタラメな話が出てきたのかしらないけど、『治療師』がどうやって魔獣を呼び寄せるのよ!?」

「お前が治療師だと!? ただの『炊事係』の小娘が偉そうにほざくな!」

「あたしは治療師よ! あんたがあたしの能力を過小評価して炊事係を押し付けてきたから、渋々やってるだけよ!」

 人類を滅ぼすために戦争をしかけてきた魔王カタルスカヤを討伐するために組織された「魔王討伐隊」にプリシラが「治療師」としてスカウトされたのが半年前だった。

 治療師とは魔法を使って傷を治療する魔導師のことを差す。

 プリシラが得意としている魔法は「料理」を媒体にして効果を発揮する「味覚魔法(テストラ)」で、その能力を買われて討伐隊にスカウトされたはずだった。

 だが、いざ蓋を開けてみれば隊に参加している数十名分の食事を作るだけの毎日で、彼女の能力は半年がたった今も正式には発揮されていなかった。 

「それに、そもそもペリュトンが暴れだしたのは、あんたがしゃしゃり出てあの子を刺激したからでしょ!?」

 プリシラは現場を見ていた傭兵からその話を聞いていた。

< 2 / 85 >

この作品をシェア

pagetop