幼なじみにつきまとわれています
「たっ、拓海ったら! やめてよ!」
どうして、こういう流れになるの!?
「いや、だって。小さい頃からよくショートケーキのいちごとか、俺の分も乃々ちゃんにあげてたでしょ?」
そっ、そうだけど……!
でもそれは、昔の話じゃない!
それに、今はすぐそばに瑠花ちゃんもいるんだから。
「乃々。あたしのことは、空気だと思って?」
瑠花ちゃんのほうを見ると、まさかの発言が。しかも、なんかニヤニヤしてるし。
「だってさ? 乃々ちゃん」
「……っ」
口元まで運ばれて、さすがに食べずにはいられなくなる。
「あ……」
わたしは渋々、口を開けた。
いちごの甘酸っぱさが、口内に広がる。
「乃々ちゃん、美味しい?」
「美味しい」
やっぱり、いちごは好きだ。
「いちごを食べる乃々ちゃん、可愛すぎ。
もっといる?」
拓海が、今度はクレープごとわたしの口元へ持ってくる。
「じっ、自分のがあるから大丈夫だよ! あ、ありがとう!」
わたしはプイっとそっぽを向き、自分のクレープにかぶりついた。