幼なじみにつきまとわれています


以前よりも随分と痩せてしまった
おじさんの身体。

掠れた声。

抗がん剤の副作用で、髪は抜け落ちて。


おじさんは、乃々ちゃんの前ではいつも笑顔を絶やさないけど。


顔色も……良くない。


病に確実に身体を蝕まれていっているのだと、見てとれた。


スポーツマンで、あんなに元気だったおじさんが、こんなふうになるなんて。


病気は、癌は……本当に怖いと思った。



『これからも変わらず、乃々と仲良くしてやってな? 拓海くんが、乃々のそばにいてくれたら……おじさんも安心だよ』


一体どんな気持ちで、その言葉を発したのだろう。

おじさんは、自分がもう長く生きられないことを……悟っていたのかな?


『おじさんがいなくなったりしたら、乃々ちゃんとおばさんが悲しむから。
そんなこと言わないで……早く元気になってよ』


そう本音で話しながらも俺は、子どもながらにおじさんを安心させたいと思った。


だから……。


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