恋に異例はつきもので
 でも、部長はわたしを留めた。
「ああ、待て。いいぞ。俺の家で良ければ」
「は、はい、もちろん結構です」
 部長はメールで住所を送ると言って、電話を切った。
 
 彼の住むマンションは東京駅からタクシーで10分ほどの、地下鉄半蔵門駅の近くだった。
 東京のど真ん中とは思えない閑静な住宅地の一画にある、見るからに高級な低層階マンション。

 ひえ、部長ともなれば、こんなところのマンションが買えるんだ。
 すごい。
 いったい、いくらするんだろう。ここって。

 そんな下世話なことを考えながら、インターフォンを押した。

「どうぞ」
 スピーカーから声がして、オートロックが解除された。
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