恋に異例はつきもので
 わたしの言葉を遮るように彼はすっと手を伸ばし、わたしの顎を指で掬いあげた。

 えっ?

 少しの間もあけず、彼の顔が間近に迫り、そのまま唇を奪われた。
「……!」

 で、なかなか離してくれなかった。

 わたしは壁に押し付けられ……
 部長は火がつきそうなほど熱のこもったキスをした。

 あまりにも長いキスに、息も絶え絶えになったとき、ようやく解放された。

「言いたいことって、つまり、こういうことだろう?」
 突然のことに毒気を抜かれたわたしは、ただ茫然と部長の顔を見つめていた。

「俺は、お前も知っての通り、〝前時代の遺物〟みたいな男だからな。こういうことで女に先を越されるのは趣味じゃない」

 そして、抱きすくめられ、耳元で囁かれた。

「花梨、俺もお前に惚れてた。ずっと前からな」
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