コンチェルトⅡ ~沙織の章

樹の受験が 近付き 幼児教室で 面談を受けた沙織。
 

「樹くんは 大丈夫だと思います。第一希望の学校の 求めるものを 樹くんは 持っていますから。」

先生に言われて 沙織は 驚く。


「まわりが見えること。譲り合い。リーダーシップ。自己主張できる事。それに樹くんは 子供らしく 伸び伸びと光っています。ただ 受験は 本番に 何があるか わからないので 油断はできませんが。」

併願校も 検討することにして 沙織は家に帰る。


お父様やお母様 紀之に その事を話す。
 

「だろう。俺は わかっていたよ。樹なら 大丈夫だって。」

嬉しそうに 紀之は微笑む。
 

「だから、まだ 合格してないって。」

沙織が言うと お父様とお母様は 声を上げて笑う。
 

「樹が せっかく 頑張ってきたんだから。たくさん 成功体験できるように 少し簡単な所も 受験した方がいいね。」

お父様は 穏やかに 言ってくれた。


幼児教室で 勧められた小学校から 

みんなで 受験する学校を選ぶ。


子供達が 眠った後のリビング。


家族みんなが 樹の将来を思い 樹のことを 真剣に考えて。
 

だから 樹は 良い子なのだと 沙織は思う。


家族が こんなに 樹を 愛している。

そして 樹を 信じている。


樹は 必ず合格する。


沙織は 自信を持っていた。
 
 









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