Tear Flowers〜快楽は毒に変わる〜
家庭科教師のマーガレット・ブラウン、美術教師のエレーナ・ネモフィラ、科学教師のセブルス・ダチュラと話していると、レイモンドの耳につけられた無線からアルミンの声が聞こえてくる。

「レイモンド、この三人に薬物事件の話題を振ってほしい」

「わかりました」

レイモンドは少し緊張を覚えた。自分の心を救ってくれたアルミンの役に立てるように頑張らなくてはならないのだ。失敗は許されない。

「そういえば、この学校で薬物事件が相次いでるってニュースでやってましたけど、何か知ってることとかありますか？」

レイモンドの質問に、職員室が一瞬で静かになる。この話題はどうやら地雷のようだ。マーガレットとエレーナが慌てて「私たち教師は何も知らない」と言う。その目はレイモンドを睨む他の教師たちに向いていた。

「俺たちは何も知りませんよ……」

そう言いながらセブルスがレイモンドから頭の向きを変え、肩が僅かに上がる。それを見つめるレイモンドに、アルミンが再度指示をした。

「彼の手首に触れて脈を見てほしい」

「はい」

レイモンドは顔をこちらに向けないセブルスに近付く。そして、「具合でも悪いんですか？大丈夫ですか？」と言いながらさりげなく手首に触れる。そして、レイモンドは目を見開いた。
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