不条理なわたしたち
「俺だって大口あけて笑うときは笑うよ」

蓮水さんはあははっと可笑しそうに笑っているが、どこか上品に感じるのは蓮水さんの元々の土台と育ちの良さがきっと良いからなのだろう。
思わず見惚れてしまった。

「じゃあ葵ちゃんは普段仕事終わった後はどうやって過ごしてるの？」

蓮水さんが頬杖を付くと私に訊いた。

「ご飯作って、掃除したり、洗濯したりですかね」

「成る程ね。しっかりしてる」

「普通の社会人の一人暮らしはそういうものかと」

蓮水さんに褒められて気恥ずかしくなり、視線はテーブルに行き、小さい声になる。

「俺は普通じゃ無いのか」

「そうですが、でもお仕事頑張って家事にお金を使うのも正解ではありますよ！」

驚いた声に思わず顔を上げ、必死にフォローしてしまった。
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