不条理なわたしたち
目が合うとフワリと微笑まれ、ドキッとしてしまう。

最初は価値観と住む世界の違いに困惑して身を引いてもらうために来た。

それなのに私、ずっと蓮水さんのペースに呑まれてる。

「葵ちゃんのこと、もっと知りたいな。話してよ」

「え?」

「何でも良いよ。趣味とかでも」

「趣味……これといってないかも……蓮水さんはありますか?」

「俺も、無いかな。訊いたのにね」

クスッと笑う蓮水さん。

私達、さっきから同じような会話のパスしかしていないな。

私もクスッと笑ってしまう。
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