暗闇の中で
今日も私は孤独の中で生きている。
でも昔は違った。私が13の時に他界してしまった母の笑顔を思い出す。母はいつも私が除け者にされた時、辛い事があって泣き出してしまった時も寄り添ってくれた。そんな母を父も私も心の底から愛してた。だから母が病気で死んでしまった時父は深く悲しんで、優しかった父はおかしくなってしまった。私を置いてこの寂れた古いアパートから出ていってしまった。私はこの時、父が愛していたのは母だけで自分は愛されていなかった事を悟った。
私はこの母との思い出の残るアパートに父からの仕送りで生活している。それでも足りないから夜22時までバイトして、そして洗濯物やら家事を済ませて重たい目を静かに閉じる。ぞっとするほど静かなこの部屋は今の自分にとっては都合が良い。そうして出来るだけ人と関わらないようように何も期待する事なく、ひっそりと生きていた。
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