凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「椎名さん、本当にありがとうございました。お母さん、私の顔を見て安心した様子でした。叔父に任せようと考えていた自分が恥ずかしいです」

 深く下げた新川さんの頭にそっと手を置く。

「仕事に責任感を持って、頑張っているのはわかっているから頭を下げなくていい」

 形のいい頭を優しくひと撫でする。おずおずと上体を起こした新川さんの瞳が潤んでいて、抱きしめたい衝動に駆られた。

 必死に堪えようと頭からどけた手を拳にする。気づかれないように細い息を吐いて心を静まらせた。

「このあとはどうする? お母さんのマンションに行けばいい? それとも新川さんの自宅?」

「母の荷物は明日取りに行きます。すでに幾つかレンタルしているらしく、他になにが必要かメールするって言ってたけど、たぶんすぐには文字が打てないと思うので」

「それなら新川さんのマンションでいいね」

 まだ赤みがかった目元で見つめられて、せっかく取り戻した平常心が簡単に掻き乱されそうになる。

 これ、もし両想いになれたら、毎日可愛がり倒すんじゃないだろうか。
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