凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 新川さんは勤続五年目だし、仕事もできるからそれなりに上の立場にいる。彼女に強く言える者が少ないのかもしれないが、俺のようにストップをかける人間が近くにいた方がいい。

 真鍋さんと話す機会があれば一度その旨を話してみよう。俺たちの会話に入ってくる勇気があるくらいだから、彼女なら可能なはず。

「なにを食べようか。希望がなければ、いいお店があるから連れて行きたいんだけど」

「椎名さんにお任せします」

 食事に誘われてから新川さんの表情がずっと強張っている。

 建前上はお礼にと言っているけれど、実は行きたくないのかもしれない。

 なかなか新川さんの心の内側が透けて見えなくて悩ましい。胸やけをしているような感覚がずっとあり、息苦しさにつきまとわれて、我ながら情けないなと内心苦笑した。

 選んだ焼き鳥店は、シックな間接照明に黒を基調とした和空間だ。酒の種類が豊富で、希少部位の串焼きなどがとてもおいしい。

 サイドメニューに麺類やご飯類もあるので好きなものが選べるのもいい。

「素敵なお店ですね。こういう雰囲気すごく好きです」

 店内に入って二人掛けの席につき、新川さんは強張らせたままだった表情をようやく緩めた。
< 144 / 248 >

この作品をシェア

pagetop