凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「日菜香ちゃん、ちょっと行ってくるね」

 爆睡している姉に一応断りを入れて部屋をあとにする。

 男性への関わり方には気をつけているのに、今日の私はどこかおかしい。

 大胆な行動を取っているのを自覚しているのに、それでも突き動かされるのは椎名さんに名前を呼ばれたせいである。

 過去の失敗から学んだ私は、みずから恋愛を禁止している。だから椎名さんへ抱く感情は恋心ではなく憧れ。

 雲の上の人から声を掛けられて舞い上がらない女性がいたら、その人はきっと鉄の心をもっている。ちなみに私の心は綿飴みたいにふわふわで、触ると溶けてネバネバになる。

 我ながらいい例えだと苦笑しつつ、自分の行動に言い訳をしてbarに戻ると、店内に椎名さんの姿はなかった。

 やっぱりすぐに部屋に戻って休んでいるよね。

 安堵なのか落胆なのかわからない溜め息をついて、バーテンダーにカクテルを作ってもらう。鮮やかな水色の液体が入ったグラスを持って、夜風にあたろうとプールサイドへ足を運んだ。
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