凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 先ほどまで吹いていた生ぬるい風は止んでいて、七月中旬らしい熱気を含んだ空気に少し息苦しさを感じた。

 中で飲もうかな、と考えながら立ったままグラスに口をつける。椎名さんに遭遇して緊張から喉が渇いていた。

 見た目より甘みの少ないカクテルはとてもおいしくて、ひと口だけと思っていたのに止まらずごくごくと喉に流し込む。

 このまま全部飲んで、barで新しいものをいただこう。

 ささやかな風が吹いてプールの水面がゆらゆら揺れる。ぼんやりとそれを眺めていたら、「こんばんは」と声がした。

 その場でビクッと肩を跳ねさせたあと恐る恐る振り向くと、斜め後ろでグラス片手に佇む椎名さんの姿が。
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