凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「俺、椎名さんに憧れているんだけど」

 ぽつりと落とされた声に横を向く。紺野さんは光で燃えているような眼差しで機体を見据えていた。

「追いつける気がしない」

「そう言いながら、瞳の奥に野望を感じるのは気のせいですか?」

 ふふふっ、と笑うと、紺野さんは決まり悪そうに、だけどどこか嬉しそうに表情を緩める。

「気のせいじゃないな……。ふたりが結婚したら、最強の夫婦になるだろうね」

 唐突に話題転換されて面食らう。夫婦って、またタイムリーな言葉だな……。

「気が早いですよ」

 僅かに動揺した心を誤魔化そうと笑い飛ばしたのだが、紺野さんは不思議そうな顔を作って首を捻る。

「あれ? そういう話になっていないの?」

 どういう意味だろう、と返事ができずにいると。

「そろそろ行くよ。今頃オフィスは大騒ぎだろうから」

「私も戻ります」

 気にはなったが深い意味はなかったのだろうと自己解決する。

 いまだぱらぱらと歓声が上がる中、紺野さんとふたり、青みのある闇が広がり始めた展望デッキをあとにした。

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