凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「まあ、一部の間では」

「えー……そうなんだ。だから椎名さん、私のことを知っていたんですね?」

「キッカケとしては、そうだな」

「私の話題ですら噂になるなんて、空港って意外と狭い世界なんですね……」

 喋りながらどんどん声が小さくなる姿がなんだか可哀想に感じて、余計な発言をしたと後悔した。

 どう取り繕おうかとあれこれ考えを巡らせていたら、「ええっと」とためらいがちに新川さんが口を開いた。

「男性と必要以上に親しくならないように、連絡先を交換しないようにしているのは事実です。理由は、私個人の問題なんです。相手がどうとか、そういうのではないので、失礼な態度を取っている自覚はあります」

 答えになっているようでなっていない。

「個人の問題というのは……」

 ちらりと目配せをすると、新川さんは口をへの字に曲げた。そんな子供みたいなあからさまな態度があるかと、張りつめた場面なのに口元が緩む。

「悪かった。俺に言う必要はないし、この質問は流してくれ」

 それに言葉の端々からなんとなく言いたいことはわかった。理由がどうであれ異性をみずから遠ざけているのだろう。

 男性が苦手なのか。だがこうして一緒にいてそういう感じは伝わってこない。

 同僚から聞いた話もそうだ。普通に喋る分には問題なく、笑顔だって見せてくれる。しかし一歩距離を縮めようとしたらものすごい勢いで鉄の壁を作られるという感じらしい。
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