凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「なんで? 彼女持ちとか?」

「特定の相手はいないんじゃないかな?」

 恋人がいるなら耳にしているだろう。

「それって一夜限りの相手はいるってこと?」

 姉の眉間に皺がくっきりと刻まれて、言葉足らずだったと慌てる。

「そうじゃない。よからぬ噂は一度も聞いていないけど、モテる人だからそういう相手がいてもおかしくないっていう想像で勝手に言っただけ」

「なんだ、びっくりした。まさに理想の男っていう感じだったから、裏切られた気分になったじゃん」

「ごめん」

 頭を下げてから、私が謝る必要ってあるのだろうかと首を捻る。

「でも菜乃が誰かに心を開くなんて、社会人になってから初めてだよね。菜乃は椎名さんを好きなんじゃないの?」

「憧れてはいるよ」

「そう自分に言い聞かせているんだね」

 姉は私の性格を知り尽くしている。だからそう断言されても反論ができなかった。
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