凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「まあ、ゆっくり考えよう。都合がつかなくて沖縄に来られない場合もあるしね。おばあちゃんには予定が立ったら伝えよっか」

「うん、そうしてもらえると助かる」

 祖母とは良好な関係を築けている。やはり孫は可愛いのか、会えばあれやこれやと世話を焼いて私を甘やかそうとする。

 ただ父親との関係は微妙だ。一緒に暮らしていた幼少期の記憶はあやふやだし、しっかりと物心がついた頃には年に一回顔を合わすだけ。

 父親というより遠い親戚のおじさんという感覚の方が正しい。

 引っ込み思案だったので、それは実の父親にも盛大に発揮しており、祖母と違って腫れものに触れるような態度でいる相手とは一向に距離が縮まらなかった。

「私はお正月にそっちに行こうかな。年明けに買った可愛いコート、まだ一度も着ていないんだよね」

「それが目的?」

 クスクスと笑い合う。もちろんそれだけじゃないとわかっているし、姉は母親と仲がいい。女三人で過ごす時間はとても楽しいのだ。

 陽気な時間を満喫しているところにビーチサンダルを引きずる足音が聞こえてきた。人影が私たちの前まで来たところで音は止み、なんだろうと上を見上げる。

 水着姿の男性三人が、にこにこと笑いながら私たちを見下ろしていた。
< 62 / 248 >

この作品をシェア

pagetop