凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「びっくりしたー。私ああいうの断れないんだよね」

 姉は苦笑してカクテルが入ったグラスに口をつける。

「二度と会わない人であれば、結婚していると言うのは有効手段だよ」

「じゃあ空港で声を掛けられたときはどうやって断ってるの?」

「休みの日は英会話教室や料理教室に通っているし、時間があればランニングをして、航空関係の勉強をしているから、連絡先を交換しても返事ができないかもしれません。だからこうして会ったときにお話ししませんか。って、言ってる」

 実際の断り文をスラスラと述べると、姉は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「そんな断り方されたら萎えるわ〜。菜乃が自分に自信をつけるために努力をして、実際にそういう時間の使い方をしているから事実なんだけどね」

 そう、嘘は言っていない。

「今ちょっと思ったんだけどさ、男性に対してこうもハッキリした態度を取る菜乃が、椎名さんと連絡先を交換したのって、やっぱりそういうことなんじゃないかな」

 私と椎名さんをやけにくっつけたがる。

 プールにぼんやりと顔を向けた私に、姉はそれ以上言葉を重ねなかった。
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