凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
『分かった。フロアまで迎えに行くと目立つから駐車場で待っているよ。場所は追って連絡する』

「あ、はい」

『じゃあまたあとで』

 業務連絡のような淡々とした口調で用件だけを告げた椎名さんは、余韻も残さず通話を終わらせた。

 耳からスマートフォンを外して呆けている私に、姉が目の前でそわそわしている。

「よく分からないんだけど、やっぱり、送ってもらうことになりそう」

「えー!」

 大好きなアイドルのコンサートチケットを購入できたときのような、大袈裟すぎる歓喜だった。

「絶対菜乃のこと好きだって!」

 興奮して鼻息を荒くしている姉に苦笑いする。

「通りもんを渡すついでだよ。椎名さんって紳士的だし、お土産渡してじゃあさようなら、とはできないんじゃない」

 ホテルの部屋まで送ってくれた人だ。そうに決まっている。
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