凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「どうぞ」

「ありがとう。へえ、和菓子っぽいけどミルクの匂いがする」

 包みの上から鼻をスンッと啜った椎名さんは物珍しそうにする。

「正真正銘、和菓子ですよ。白餡を包んでいる皮がミルクの香りがするんです。椎名さん鼻がいいんですね」

「食べていい?」

 え、今? と面食らいながらも、断る理由はないのでうなずく。

「もしかして夕飯まだですか?」

「ああ。仕事が終わってから、ちょっと用事があって食べそびれた」

「そうだったんですね」

 忙しいのは重々承知している。だからこそ私のために貴重なプライベートの時間を使わせて居たたまれない。

「新川さんは食べないの?」

 恐縮している私の心情など露知らずといった様子で、椎名さんは箱を抱えたままの私を見据えて首を傾げた。

「じゃあ、いただきます」

 まさか椎名さんの車で食べることになるなんて。

 見るからに高級車で、車内も綺麗に整えられている。こぼさないようにと気を張っていたせいで、一個食べ終えても正直味がわからなかった。
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