凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「そして相手の感情に敏感だからこそ、些細なことで不安になったりするんだろう。新川さんはマイナスと考えているものを、俺は長所だと感じるよ」

 車のシートに背を預け、腕組みをしながらゆったりとした口調で語る横顔をジッと見つめた。

 以前病院のカウンセリングで言われた内容と同じだ。たしかに昨夜私の内側に深く触れたけれど、昨日の今日でここまで理解してくれているなんて。

 世の中にはこんなできた人もいるのだと驚くのと同時に、真綿で包まれるような居心地の良さを感じて胸が満たされる。

 椎名さんといると、ずっとほしいと焦がれている自尊心が高まるのを実感する。

「勝手に語ってすまない。行こうか。住所を教えてもらってもいい?」

 ドキドキと胸を高鳴らせながら自宅マンションの場所を告げ、車は流れるように走り出した。

「雨すごいですね」

 駐車場を出ると、途端にフロントガラスを叩きつけるような強い雨に眉をひそめる。

 飛行機を降りてからもずっと建物の中にいたので、外がこんなバケツをひっくり返したような豪雨になっているとは知らなかった。
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