凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「この悪天候はパイロットにとって死活問題だ。フライト便はとくに問題はなかったか?」

「着陸をやり直す場面がありました。あとハードランディングでしたね」

「ゴーアラウンドか。風が強かったからな」

「パイロットって本当にすごいですよね。私だったら焦って冷静な判断はできないです」

 自分が操縦桿を握っているイメージを巡らせると、想像なのに手に汗が滲むようだった。

「そのために日々訓練をしているからな」

 なんでもないように言う椎名さんがとても頼りがいがあるように見えた。実際にそうなのだろうし、彼の落ち着きのある雰囲気は、長年鍛え抜いた中で築き上げたものなのだろうか。

「新川さんはパイロットの知識が豊富だけど、グランドスタッフというのは、そういうところまで勉強をしているものなのか?」

「皆がどうかわかりませんが、私は空港で働く人間として、なるべく多くの知識を身に着けたいと思っています。だから暇さえあれば航空書籍を読んでいます」

「すごいな」

 ハンドルを握って前を向いている椎名さんは両眉を上げた。
< 77 / 248 >

この作品をシェア

pagetop