凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「自分の知らない情報を得るのが好きなんです。だから趣味の一環ですよ」

「へえ」

 短い返事のあと椎名さんは静かになった。車内に流れる音楽は叩きつける雨粒の音でかき消される。ワイパーが忙しなく雨水を切るが、あっという間にフロントガラスが濡れて景色が滲んでいく。

 運転の邪魔にならないようにと息を潜めているうちに、羽田空港で働くようになってから暮らし始めたマンションの前に到着した。

「ありがとうございました」

 挨拶をしてすぐに下車しようとしたのだが、椎名さんに「待って」と引き留められる。

「弱まってからの方がいいんじゃないか?」

 彼の言う通り、つい一、二分前に雨脚が更に強くなり、近くで雷の音がしている。ドアを開けて傘をさしているうちにびしょ濡れになるのは確実だろう。
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