凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「帰ってシャワーを浴びるので大丈夫ですよ」

 こんなところで待たせるのは申し訳ない。

「さすがに危ないだろう」

 そう言い放った彼の視線の先に、ちょうどマンションへ駆け込む女性の姿があった。傘は変形し役目を果たしておらず、強風に煽られて足元がおぼつかない。

 ああなるのはちょっと辛いかもしれない。傘は手持ちの一本だけだし、もし折れたら明日の出勤時に困る。

「椎名さんは明日どこのフライトですか?」

「ロンドンだ」

「ロンドン……」

 オウム返しをして、それなら尚更身体を休めるべきだと焦る。

「また俺に気を遣っているんだろう。出社は九時半頃だから睡眠は十分取れる。それにまだ十時前だ。子供でも起きている時間だろう」

 簡単に見透かされて顎を引いた。
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