凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「それとも新川さんは早く帰りたい?」

「そういうわけではないです。本当に、帰って寝るだけなので。でも椎名さんは食事をされていないんですよね? 私は帰りの便に乗る前、姉と空港内のお店で沖縄そばを食べたからお腹は空いてないんですけど……」

 椎名さんはシートベルトを外して、本格的にここで待機する態度を示した。私も降りるのだから、と同じく外す。

「警戒されるかもしれないから黙っておこうと思ったんだけど、俺のマンション、ここから五分もかからないと思う」

「そうなんですか」

 驚きで目を見開くと、椎名さんは眉根を下げて微笑む。

「だから家に帰ってすぐに食事をとるよ。それなら心配かけないだろう?」

 実家に犬がいると話していたから、椎名さんはひとり暮らしをしているはず。家に帰って食事が用意されている実家暮らしとは違い、帰ってすぐには食べられないのでは?

 だけどここで納得しないのはさすがに面倒な女だろうと思い、こくりとうなずいた。
< 80 / 248 >

この作品をシェア

pagetop