凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「菜乃、ちょっと痩せた? 仕事忙しいんじゃない?」

「痩せたのはただの夏バテ。仕事は楽しいよ」

「それならいいけど。相変わらず浮いた話はないの?」

 姉は会う度に恋愛事情を詮索してくるのだが、残念ながら社会人になって一度も恋愛をしていない私は首を横に振るしかない。

「最近は晩婚だし、三十歳になるまで恋愛はいいかな」

 子供は好きだし、いつか母親になりたいと思ったりはする。

 だから三十代になったら結婚を意識して、誰かしらとお付き合いを始めた方がいいとは思うけれど、今は必要ない。

「可愛いくて料理上手で、仕事ができるいい女なのにもったいない」

 姉は口を尖らせて不服を露わにした。

 離れていたせいか互いを大切に想う気持ちは強く、私も姉もシスコンなところがある。

 私を過大評価する姉を可愛いなあとクスクス笑いながら、ずっと心に掲げている信念を伝えた。

「私は恋愛をするとダメ人間になる。せっかくここまでひとりでやってきたんだもん。また自分の人生を壊すかもしれない恋愛をしたくない」

 これまで何度も聞かされている話に姉は辟易した表情を浮かべた。あからさますぎてブッと噴きだす。
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