白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
あえて突き放すように言えば、ウィルバーがムッとして噛みつくようなキスをしてくる。下肢はまだつながったまま、彼の分身はおおきく怒張したまま、ローザベルを堪能している。もしかしたら彼の身体も覚えているのかもしれない。結婚したときからずっと、妻の身体しか貪ってこなかった彼は……
「そうだな……君が何者でも構わないと、そう思ってしまった……ここで抱くつもりは、なかったのに」
口づけられて、舌を絡めて唾液を混ぜ合わせて、はなれた途端に銀の糸がつぅっとローザベルの胸に落ちる。
寝台の床には飛び散った花瓶の色硝子の破片がキラキラと煌いている。
散り散りになった薔薇の花は、結婚初夜の寝台を彷彿させる。
まるで追体験しているみたいだなと反芻しながら、ローザベルは鼻で嗤う。
「矛盾してるわ」
「それでも、愛してしまった……これは、理由にならない?」
「――ならないわよ、莫迦」