白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

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 既に陽はとっぷりと暮れていた。
 憲兵団の副団長マイケルは、頬を緩ませつやつやの表情で現れた団長の姿を見て、呆れたようにため息をつく。
 
「丸二日寝室に籠りっきりでしたね。お盛んなことで」
「うるさい。それより俺が留守の間、ゴドウィン兄上の来訪以外、何か変わったことはなかったか?」
「いいえなんにも。国王陛下が通わせている使用人たちも休ませたままですし、城内のことは団員たちでどうにかしております」

 茶化すような仕草でウィルバーを見やるマイケルは、怪盗アプリコット・ムーンの素顔を見たことがない。
 ただ、憲兵団長の周りを影で支えろという国王陛下の指示で、この数日、花の離宮からはなれることなく見張りをつづけている。
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