白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
ローザベルとウィルバーと最愛の誓い

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 澄み渡る青空の下で、一組の男女が愛を誓っていた。

 リンゴンリンゴン鳴り響くのは、時計台広場の時を報せる鐘の音。勢いよく水飛沫を飛ばす噴水の周りでは目には見えない精霊たちが小鳥たちとともに集い、王城で行われているであろう結婚式を見守っている。

 怪盗アプリコット・ムーンと憲兵団長ウィルバー・スワンレイクが共闘し、国家転覆を目論んだタイタス・スケイルを成敗した騒動が終焉してからふた月。
 季節は花残月の四月から風待月の六月へと突入していた。既に王城の周りで咲き乱れていたスプレンデンスの花は散り、シュネー・ビッチェンという四季咲きの別の品種の白い蔓薔薇が王都全体を飾っている。

 国民は怪盗アプリコット・ムーンを救国の乙女だと祀り上げ、彼女の死を悼んだ。あれだけ国家や王家を愚弄した女狐だと蔑まれていたというのに、世間の変わり様はこんなものだと国王アイカラスは苦笑する。
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