白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 だが、最強の古代魔術師、アイーダ・ノーザンクロスと初代スワンレイク国王マーマデュークの蜜月はわずか二年で終了した。ローザベルとウィルバーの婚約が決まった、わずか一ヶ月後だった。
 なぜなら、マーマデュークが志半ばでこの世を去ってしまったから――……
 彼の死は病死とされているが、“愛”を失ったアイーダが魔法を扱えなくなったため真相は闇のなかだ。

 すぐさま、マーマデュークの息子であるアイカラスが二代目国王として戴冠した。彼もまた、アイーダの“愛”を欲したが、年老いた彼女は隠居を宣言、ローザベルの両親がノーザンクロス一族の長老となるも、アイカラスは彼らと“愛”を交わすことなく、今日までのらりくらりと玉座に座っている。
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