白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 素直に頷く妻の肩を抱きながら、ウィルバーは彼女の桜桃のような唇へキスをする。ちゅっ、ちゅっと啄むようなキスを繰り返して、夫は優しく微笑う。

「怪盗アプリコット・ムーンを捕まえたら。毎日同じ寝室で寝てくれるんだよな?」
「……!」

 ぽっ、と顔を赤くする妻を見て、ウィルバーは嬉しそうに彼女の髪を撫でる。
 このあと予告状に書かれている現場を見に行くからと告げれば、ローザベルも目を輝かせてウィルバーの手を握る。

「わ、わたしも行きたいです!」
「え、でももう夜遅いし」
「行・き・た・い・です!」
「……わかったわかった。古代魔術の遺跡を見たいんだね」

 困った奥さんだなぁと苦笑を浮かべながらも、ウィルバーは彼女の手をとり、ともに花の離宮の住居部分ではない遺跡部分へと繰り出すのだった。
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