木沢彰吾、禁煙を決意する 『恋に異例はつきもので』おまけSSその1
 で、プレゼン当日。
 どんな奴が現れるのか、内心、楽しみにしていた。
 そして……

 わ、な、なんだこいつ。
 可愛すぎるじゃねえか。

 黒髪ショートヘアにベージュのパンツスーツ。
 小柄で顔も小さくて。
 なんというか、動きも小動物っぽい。

 実は、俺はこういうタイプに極端に弱い。

 テレビでプレーリードッグやオマキザルなんかが出てくるといつも顔筋がゆるむ。
 
 その日の花梨は見るからに緊張しまくっていた。
 演台にあがるとき、いきなりコケるし。
 マイクのスイッチ、入れ忘れるし。
 原稿飛ばすし。
 顔、真っ赤だし。
 もう、笑いをこらえるのに苦労した。

 プレゼン中も、この腕で抱きしめて、あの頭をぐりぐりしてやりたいなんて、不謹慎なことを考えていた。

 このときには、すでにあいつに惚れてだってことだ。今、思えば。

 
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